こんにちは、ライターの凜です。10月にもなるといよいよ秋が深まり、残暑続く先月から過ごしやすい季節になりました。
さて、今月の10月16日~10月21日(初日はエムアイカード会員限定日)にいよいよ、年に一度の日本最大級の香水の祭典「サロン ド パルファン2024」が伊勢丹新宿にて開幕します。
本記事では、先月のサロン ド パルファン2024で押さえたい作品【前編】に続き、後編の作品をご紹介いたします。
前半は伊勢丹新宿に常設されているブランドの中でも選りすぐりの正統派ラグジュアリーメゾンを中心にご紹介いたしました。そのため、後半では伊勢丹新宿に常設していない独特のコンセプトを持つメゾンやニッチフレグランスをご紹介させていただきます。
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最初にご紹介するのは、クラシック音楽を香水で表現する独特な世界観を持つフレグランスメゾンのラニュイパルファンです。ラニュイはピアノ楽曲史上最高難易度と謡われる夜のガスパール(モーリス・ラヴェル作曲)より。香りも美しいですが、箱のクラシック音楽をイメージしたような装飾をはじめ、クラシック音楽好きの心をくすぐるおもてなしが沢山あります。昨年会場で販売されていたスクリャービンのディスカバリーセットにはスクリャービン本人の演奏が収録されたCDとスクリャービンに関する読み物ブックレットが付属されていました。
今回ご紹介する香りはそんなスクリャービンの作品で、ブックレットに収録されていた「白ミサ」、「黒ミサ」、そして新規の「炎へ向かって」です。スクリャービンはロシアの作曲家、ピアニストで、傾倒したニーチェの超人思想や神智学から色濃く影響を受けたピアノ曲を多数残しています。
彼は神秘和音と呼ばれる独自の技法を編み出し、響きが神秘的でどこか恍惚で官能的だともいわれ、これは自らの音楽で神智学を表現=神の啓示に触れようとしたからだと言われています。また、共感覚の持ち主でもあり、音を聴くと色が浮かび、彼だけにしか見えない色彩感覚を音色に取り入れていました。だからなのか、彼の音色を聴くとその豊かさにいつも驚かされます。さて、香水の紹介に入っていきます。
1.Scriabin Messe Blanche(ラニュイパルファン) 【ハーバルウッディー/ユニセックス】
香りのノート
Top
ベルガモット
Middle
セージ ラブダナム(シストローズ)
Last
ミルラ
後半の最初にご紹介するのは、スクリャービンが寵愛して、演奏会で好んで弾いた神の道でエクスタシーに達した至上の歓びの境地を表現した、白ミサから「Scriabin Messe Blanche(ラニュイパルファン)」です。
トップノートの柑橘であるベルガモットがフレッシュと言うよりも優雅に香り、紅茶の香料付けに近い印象です。最初からミドルノートのセージの香りが強烈な清廉さを放ちます。セージはハーブの一種で、北米の先住民が儀式で場を清めるために用いた歴史もあります。トップノートのベルガモットが飛ぶと、ミドルノートのラブダナム(シストローズ)が登場しパウダリーなスモーキーさとしっとりとした甘さも醸し出し、爽やかな清廉さと対極の要素ではありながら調和をします。まるで瞑想をして神と繋げてくれるようにさえ感じます。
そして、ラストでは旧約聖書で神への供物として捧げられたミルラが神秘的なお香の如く心を落ち着かせるように香ります。どんなに表情は変わっても最初から最後まで白く清らかな香りは変わらず、聖なる典礼儀式(ミサ)そのもので、まさに白ミサです。
Scriabin Messe Blanche(ラニュイパルファン)はスクリャービンやクラシック音楽への嗜好に関わらず、心を洗い清めたい時や夜寝る前に付けて気持ちを新たかにしたい時にもおススメしたい作品です。
2.Scriabin Messe Noir(ラニュイパルファン) 【ウッディースパイシーオリエンタル/ユニセックス】
香りのノート
Top
無し
Middle
アミリス ラブダナム
Last
ベチバー
続いてご紹介するのは先にご紹介した「Scriabin Messe Blanche(ラニュイパルファン)」と対比の立ち位置にある、スクリャービンが悪魔的なものと深く関わりながら創造したとし、聖なるものが冒涜的に侵されていく様を描いた、黒ミサより「Scriabin Messe Noir(ラニュイパルファン)」です。
トップノートが存在しない部分に一切の柑橘の持つ光のような明るさや軽やかさを一切入れないという強い意思を感じます。開幕一番からアミリスとラブダナムと本来ミドルの香りがはじめから強烈に漂うという違和感を感じさせる、まるで原曲のおどろおどろしい不協和音さながらです。アミリスは甘みがある樹木系の香料で、独特な焦げ臭い埃被った土っぽい香りがします。そのため香辛料は入っていませんが、スパイシーさを醸し出しています。
また、本来温かみがあるウッディー系なのに冷ややかな感じがしているのもアミリスならではです。擬人化するならば癖が強くて警戒心も高く、人を寄せ付けない冷徹な性格です。
ミドルに同時にあるもう一つの香料は、白ミサでもメイン香料の一つだったラブダナムです。白ミサではスモーキーでしっとりとした甘さのある香料で瞑想する時のような雰囲気をし、清浄なセージの香りとともに、神と繋げてくれるような神聖さを演出していましたが、今回は対極の役割です。瞑想をして神と繋がる神聖なラブダナムが、冷徹で邪悪なアミリスに侵されていくようで、原曲の「神聖な第2主題」と「邪悪な第1主題」が交互に入れ替わり、最終的には冒涜された聖物と成り果てる姿を表現しています。
ラストノート=ベースノートである湿った土を連想させる根っこの香料であるベチバーに至り、元のラブダナムが塗りつぶされていき、お香のようにラブダナムは漂うだけです。
Scriabin Messe Noir(ラニュイパルファン)は人を非常に選びますし、初心者にはまずお勧めしかねる香りです。日常的な付けやすさは全く無く、強烈な香りのアミリスもベチバーも香水慣れしていないと違和感を感じると思います。
ただし、スクリャービンのピアノ楽曲の黒ミサやクラシック音楽の世界観を忠実に表し、トップノートを設けないといった作品の完成度を求める徹底ぶりに香水が本当に好きな方こそ是非お勧めしたい作品ではあります。また、退廃的な官能さも感じられ、夜に付けると神秘に触れられるような魔力もあり、私自身、つい寝る前に取りたくなる作品で、一度は試して頂きたい作品なのは間違いありません。
3.Scriabin Vers la flamme(ラニュイパルファン) 【シトラスウッディーオリエンタル/ユニセックス】
香りのノート
Top
シトラス(不知火)
Middle
イランイラン パロサント
Last
パチュリ
ラニュイ最後の3本目にお届けする作品はスクリャービンが世界の終末を夢で見て、地球が灰燼に還る幻影を表現した最後の作曲「焔に向かって」から、「Scriabin Vers la flamme(ラニュイパルファン)」です。
トップのシトラス(不知火)は火の国、熊本県産の特産品である柑橘類の品種で、独特の苦みと甘みと酸味がアグレッシブに舞います。人によって薬品や薬草酒のように感じるのは果実の青っぽさがアルコールの揮発と混じっているからだと思います。それでも、この少しの時間が原曲の静かな始まりをよく表現しています。すぐに肌に馴染んでいくと不知火の柔らかな温かい陽光が差し込んできます。まるで暗闇の世界に光が降りるようです。
進むと聖なる木の名を持ち、古より浄化をする香木と名高いパロサントが落ち着いた樹木の甘さで我々を神聖さで包み、クリーミーな甘さを放つ太陽のようなイランイランを感じながら進みます。「官能的でよく女性物の作品に入っているイランイラン」という感じはしません。慈愛のように香り、徐々に太陽は大きくなっていきます。ラスト(ベース)は澄み切ったパチュリがそっと寄り添いパロサントを最後まで感じながら、静かに幕を閉じ地球が灰燼に還ります。
Scriabin Vers la flamme(ラニュイパルファン)はScriabin Messe Noir(ラニュイパルファン)程ではないですが、最初の薬草酒めいた香りや柑橘にしては癖の強いシトラス(不知火)にパロサント、イランイラン、パチュリと強めな癖のある香料が使われているため、こちらもある程度は人を選びます。それでも、軽やかで春夏向けになりがちなシトラスの香りで、秋冬に付けても違和感なく楽しめるものをお探しの方にはお勧めしたい作品です。
また、不知火の癖の強いシトラスの香りに薬草の青っぽさ、パロサントの独特な浄化の香りに、珍しい使われ方をするイランイランと、調香そのものも素晴らしいので、試すだけでもお試しいただきたく存じます。
これより後半にご紹介するのはニッチブランドを中心に香水を取り扱うセレクトショップ「ノーズショップ」のラインナップより、Liquides Imaginaires(リキッド イマジネール)、The House of Oud(ザ ハウス オブ ウード)、Laboratorio Olfattivo(ラボラトリオ オルファティーボ)の3ブランドから計4本です。
まずはリキッドイマジネールから1本をご紹介いたします。
リキッドイマジネールは香水業界で実績の高い珍しい香料を探求するダヴィッド・フロサールとデザイナーのフィリップ・ディメオがタッグを組み、シリーズごとにテーマとコンセプトがあり、物語性を大切にしているブランドです。
4.Phantasma(リキッド イマジネール)【パウダリーティースパイシー/ユニセックス】
香りのノート:ブラックティー ユズ ライスパウダー ジンジャー ジュニパーベリー サンダルウッド
Phantasma(リキッド イマジネール)は古代インドやギリシャ医学で唱えられていた四体液説からインスピレーションを得た、「トリロジー・デ・ジュメー」シリーズ三部作の一作品で、人の喜びを喚起して光の中へ導くような、とても魅惑的で不思議な魔力を秘めた作品です。
付けたてからティーとスパイシー、そしてグリーンを思わせるスッとした清涼感が感じられ、輪郭がしっかりとしています。ブラックティー(紅茶)なのに緑茶のように感じられるのは、爽快なグリーンのジュニパーベリーの清々しさや、日本の果実の柚子が隠し味のようにフレーバーを与えているのだと思います。アールグレイの茶葉にベルガモットで香りづけしているように。
時間が経つと柑橘である柚子が飛んでグリーンの勢い強かったジュニパーベリーも少し和らぎ、緑茶感は落ち着く代わりにライスパウダーが登場し、パウダリーで柔らかな輪郭となっていきます。また、ジンジャーもより強調され温かみを強く感じていきます。そして、終盤になると待ち構えていた甘く魅惑的な樹木のサンダルウッドと交わり、この上なく官能的なティーになり、私たちを恐ろしいほど虜にします。最早、最初の凛々しい輪郭のしっかりとした印象とは真逆です。なるほど、輪郭の強弱で現実とファンタジーの幻想を反目する様を描く表現力に感服します。
Phantasma(リキッド イマジネール)はティー香水がお好きな方には是非お試しいただき作品です。ティー香水の柑橘系との相性の良さを活かした爽やかさや茶葉の香り高さ、ホワイトティー系統に見受けられるようなフローラルのような甘やかさといった要素を全て含みながら、最初と最後、現実と幻想の二面性も兼ね備えた非常に個性的なティー香水の作品となっています。香りの変化を楽しみたい方にも是非お試しいただきたい作品です。
続いてはザ ハウス オブ ウードから1本ご紹介いたします。
ザ ハウス オブ ウードは世界でも希少な天然の最高級ウード(沈香)だけを探し続けるアラブ人のウードハンターと、香料会社のイタリア人の社長の友情が手を取って成り立った、ウードへの限りない情熱が基盤となっているイタリアの香水ブランドです。ウードを妥協なく探求する際に、未知なる自然界からの大秘宝もまた惜しみなく扱い、作品を世に出しています。
5.Gambling(ザ ハウス オブ ウード)【オリエンタルウッディー/ユニセックス(男性寄り)】
香りのノート
Top
ウイスキー ベルガモット ペッパー コーヒー
Middle
サイプレス ガルバナム エレミ
Last
ベチバー シダー ガイアックウッド アンブレット ベンゾイン アミリス ムスク
Gambling(ザ ハウス オブ ウード)はウィスキーが主役のハードボイルド映画で、その名の通り危険と隣り合わせの人生をギャンブルのように生きる格好良い男性が身に着けるようなイメージが沸きます。トップから苦くて重い埃被った土っぽい香りがします。柑橘系で軽やかな一般的なトップとは異なり、柑橘で入っているベルガモットも存在感がなく、代わりに主役たるウィスキーが、土のようなベチバーと共に、トップのコーヒー苦さにミドルの苦々しくもパウダリーグリーンなガルバナムの異なる種類の苦さが混じったところにペッパーのスパイシーさもあると言う複雑すぎる開幕です。
時間が経っても苦さと渋さと埃っぽい土っぽさの複雑な香りは変わらず、サイプレスやエレミも苦味に圧倒されて時折微かにアロマティックに表情を見せる程度です。ラストに沢山の香料が使われておりますが、グリーンのガルバナムやトップであるウィスキーやコーヒーが和らぐため、ちょうどよくそれぞれが様々な顔を見せます。
ベチバーもアーシーな(大地のような)側面が目立ち、独特のスパイシーな樹木のシダーに、ほの甘いスモーキーな樹木のガイアックウッド、官能的な温かさを持つ種子のアンブレット、神秘的でスパイシーオリエンタルなベンゾインに、バルサミックで柑橘な樹木のアミリス、動物性の官能性を持つムスクと、渋くて苦い大人の香りに移り変わるように面白みを与えます。ギャンブリングとは言いえて妙です。
Gambling(ザ ハウス オブ ウード)は超上級者向けの作品と言っても過言ではないです。毎日付けるにはハードルが高く、付ける場も日常ではそぐわず、一流ホテルに泊まるときやパーティー会場にナイトクラブといったハレの場に限られる印象があります。ただ、こういった香水からでしか得られない体験があるのも事実です。もし、土っぽいアーシーな作品をお探しの方や苦みや渋みがお好みの男性が居たら、是非お試しください。
いよいよ本記事最後にご紹介するブランドのラボラトリオ オルファティーボに入ります。ラボラトリオ オルファティーボは至高の芸術作品を創造することを唯一のルールとし、若手の才能と情熱が何の制約もなく活躍できるようにマーケティング戦略や伝統やしきたりを排除するといった徹底した環境配備を行っています。それはブランドの作風としての共通項などが無いほどで、各調香師の感性を尊重し、目指すものが最大限に表現できるよう万全な体制を取る文字通り「嗅覚の実験室」です。
そんなラボラトリオ オルファティーボから、今回は2本紹介します。
6.Vanhera(ラボラトリオ オルファティーボ)【スパイシーオリエンタル/ユニセックス】
香りのノート
Top
ベルガモット カルダモン 四川胡椒 ピンクペッパー
Middle
サンダルウッド カシミアウッド シナモン
Last
バニラ カルマウッド ティンバーシルク アンバー ムスク
Vanhera(ラボラトリオ オルファティーボ)はヴァネラの名の通りバニラが主役として威風堂々とし、秋冬にしか付けたくなくなるスパイシーな大人っぽい作品です。
トップからラスト(ベース)のバニラの香りがしっかりと香り立ちますが、決してグルマン調の甘々で可愛らしい作品ではありません。むしろ、共演する四川胡椒やピンクペッパー、カルダモンとスパイス系香料が惜しみなくスパイシーでドライに効いた大人のバニラ作品です。この温かみを感じると、寒くなる秋冬以外には付けれないと感じます。
少し経つと、サンダルウッドの落ち着いた樹木の甘い香りやカシミアウッドの複雑さと滑らかに絡み合って、トップでスパイス系香料が強くドライに尖っていた部分が落ち着いてまろやかになっていきます。スパイスのシナモンは強いドライではなくあくまで香り高く、バニラとウッディにスパイスをちょうどよく和を保つように香ります。バニラ、ウッディ、スパイスの調和する様が大変美しいです。
そのまま、終わりにかけてウッディ系のカルマウッドにティンバーシルク、動物系成分のアンバーやムスクと、穏やかにリラックスさせるような展開をしていき、いつの間にか肌と香水が馴染み、バニラが主役の作品とは思えないほど尾を引かずに自然と立ち消えていきます。
Vanhera(ラボラトリオ オルファティーボ)は男女問わず、バニラがお好きな方には是非お試しいただきたい作品です。グルマン系の甘いバニラ香水がお好きな方には、今までとは違うドライスパイシーな大人のバニラを体感でき、バニラへの概念も変わるでしょう。ねっとりとした甘さもなくそれどころか、スパイシー感が強いので男性にも扱いやすいです。また、ホットスパイシーなのでこれからの季節を温かく過ごせると思います。
7.Miss-U(ラボラトリオ オルファティーボ)【オリエンタル/ユニセックス(やや男性寄り)】
香りのノート
Top
ベルガモットゼスト イエロータンジェリン
Middle
シナモン 花椒 アンブロックス
Last
パチュリ バニラ ガイアックウッド
最後にお届けする、Miss-U(ラボラトリオ オルファティーボ)はミスユー(和訳:恋しい)で、Need-U(和訳:あなたが必要)と対の作品です。Need-Uが香水から肌に宛てたラブレターに対し、本作のMiss-Uは肌から香水へのラブレター。
Need-Uがマリンノートで春夏向けのムスクが特徴的な、肌が美しく香るナチュラルなスキンフレグランスなのに対し、本作Miss-Uはオリエンタルノートで秋冬向けのシナモンバニラが特徴的な、香水がドレッシーに華やぐ官能的な作品です。シナモンバニラが特徴的と言いましたが、先ほどご紹介したヴァネラとは全く異なる使い方で、こちらは甘くてセクシーです。トップにベルガモットゼストやイエロータンジェリンと柑橘類がある筈なのに爽やかさやナチュラルさは一切感じられず、寧ろセクシーで非日常的。
甘めなバニラやシナモンに動物性ホルモンを再現したアンブロックスの独特さにスパイスの花椒と、香水から肌に調和するのではなく、身に纏う我々が香水に調和するように美しく着飾るような、そんなイメージです。まさに肌から香水へのラブレターなのでしょう。ラストになると落ち着いて、パチュリの澄み切った香りが静かにそっと寄り添い、今までのアグレッシブさを中和して、最後は肌と調和するように幕を閉じます。きっと恋は成就したのでしょう。
Miss-U(ラボラトリオ オルファティーボ)は香水上級者向けで、ユニセックスとはありますが、男性の方が付けやすいです。実は今回ご紹介したラボラトリオ オルファティーボの作品はどちらもLuca Maffei (ルカ・マフェイ)が調香をしています。そして、両方とも同じバニラがメイン香料で、スパイス類にウッディ類、柑橘類の顔ぶれと非常に似通っているのに全然違う作品をしています。同じ調香師、同じような原料、メイン香料も同じでも、ここまで違う表現が出来るのかと、感服しました。
ヴァネラと一緒に試して対比をしていただくのも、季節外れにはなりますが、対の作品のNeed-Uと一緒に試すのも(こちらはMarie Duchêne (マリー・デュシェーヌ)が調香)、やっていただきたいです。それぞれの作品と調香師の表現の魅力に触れられると思います。そして、「至高の芸術作品を創造すること」を唯一のルールとし、ラボラトリオ オルファティーボだから出来たことだと実感しました。
以上サロン ド パルファンで是非押さえたいフレグランスを前半、後半併せて計16本ご紹介いたしました。会場では沢山の作品が陳列され、昨年来訪した限りでは、エムアイカード会員限定初日の平日さえ、非常に混雑していました。そのため、普段のように落ち着いて試すゆとりはないと思います。なので、事前に気に入った作品をチェックしておく方が良いです。
セレスのサービスではワンタップ500円程度でご用意がございますが、実際の商品と同様にスプレーで吹き付けた方が再現性が上がるため、スプレータイプで購入することお勧めします。勿論、ブランドが液体を細かに噴射するように工夫や改良を重ねている実物のスプレーと全く同じとはいきませんが、ワンタップとの違いも感じていただけると思います。そして、本物の香水に触れる瞬間を当日、是非、お楽しみください。
凛
香水を愛してやまない某IT企業Webライター。
大学の頃にラルチザンのヴォルール・ド・ローズに出会い
衝撃を受けて以来、香水愛好家となって10年以上を経る。
そのため、IT企業でのライター経験を活かし、
愛する香水のことを発信するライフワークも始める。
初恋はラルチザンのヴォルール・ド・ローズで
今の恋人はFueguia1833のChamber。